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紙屋さんって何をしているの? その3 その紙キロいくら?

2016.8.16

今回は、紙屋の商品知識についてのお話です。

前回、紙の種類って1万種類はくだらないんじゃないか? という話をしましたが、今日はそんな商品知識も含めて、紙屋さんが紙をどういう風に売っているかというお話です。当社がメインで扱っている印刷・情報用紙、基本的に1枚いくらで売りません。紙の重量で売ります。キロいくら? っていうことですね。

紙なんてペラペラで重さなんかないよね? という方、ファッション誌を買ったらカバンが重たくなった記憶はありませんか? 新聞紙を溜めてしまって、古紙回収の時にまとめたらものすごく重かった記憶はありませんか? そう、紙は集まると重たくなるんです。というか、紙は軽くないのです。

印刷用紙は工業規格で斤量というものが決められています。これは、”一定の大きさの紙が1000枚集まった時の重さ”ということです。紙の大きさってA4とかB5とかそういうのを想像しがちですが、紙屋が売る紙はもっと大きいんです。例えば四六判と言われている規格サイズがあります。これは1091mm☓788mmという寸法です。

この大きさの紙が1000枚集まると90キロとか110キロという重量になります。印刷の相談をすると「紙は110(ひゃくとー)か90ですねー」なんて言われますが、まさしくそれです。この斤量というのは紙の厚さや硬さにそのまま直結しますので、印刷物に使う紙を決めるときは斤量からまず決めていきます。

今度は紙の寸法です。紙の寸法は印刷物の仕上がりサイズによって決まってきます。A系列の寸法(A4とかA5)とかであればA判か菊判、B系列の寸法だったらB版か四六版の紙を使うと加工に大きな無駄が出ません。菊判はA判、四六判はB判より一回り大きいサイズなので、加工が難しい物は大きな方を使うと加工の難易度が下がります。

結果、お客様からB4の冊子を作るのでA2コートの四六判横目、110キロを5000枚手配してーと言われたら、全部で550キロ、単価は160円/キロなので8万8000円になりまーす。という計算が紙屋の値段の決め方。一方で特殊紙のようなものは枚数を多くは使わないので、1枚いくらという計算で販売することもありますよ。

・今回のポイント
紙は重量単位で売るのが基本。
紙の斤量は規格寸法1000枚単位
紙の斤量は厚みに直結している

次の記事では、紙を扱う上で必要な知識だけど、一般の人で知ってる人はなかなか居ない流れ目のお話をしましょう。

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紙屋さんって何をしているの? その2 紙の種類は1万種類!?

2016.6.15

さて、前回の紙の話からだいぶ空きましたが、
今回は紙の種類はメチャクチャ多いんですよというお話です。

皆さんの周辺を見渡すと紙ってどこにでもありますよね。新聞紙、雑誌、チラシ、カタログ、書類、ポスター、箱、飲料のパッケージにキッチンペーパーにトイレットペーパー、その他etc……。どこを向いても紙を見ない、触らないという生活は考えられません。そして、触ってみるとどの紙も微妙に違いがあるのがわかります。表面がテカテカした紙、ザラザラした紙、カチカチに厚い紙、ペラペラの薄い紙、表面に模様のある紙、こちらも様々です。では紙の種類って何種類ぐらいあるんでしょう?

数を言う前に、紙がどういう区分になっているかを書いてみましょう。経済産業省の統計用分析を見ると、紙は大きく分けて新聞用紙、印刷・情報用紙、包装用紙、衛生用紙、雑種紙の5種類です。新聞、印刷・情報、衛生用紙はだいたい想像がつくとして、包装用紙はクラフト紙と呼ばれる袋や封筒に使われる紙。雑種紙は工業用と家庭用に分かれますが、トレーシングペーパーやシールなどに使う剥離紙、和紙なんかもあります。

そして、当社がメインで扱う印刷・情報用紙は以下にツリー状にしてみます。

印刷情報用紙
|ー塗工印刷用紙
|ー塗工紙(アート、A1コート、A2コート)
|ー微塗工紙(微塗工・A3コート)

|ー非塗工印刷用紙
|ー上級印刷用紙
|ー中級印刷用紙
|ー下級印刷用紙
|ー薄葉紙

|ー特殊印刷用紙

大分類でこれです。上記の分類は紙の表面に塗工層があるかどうか、塗工層の厚み、使ってる原料の種類なんかによって分かれますが結構細かいですね。そして紙の銘柄、厚さ、寸法、流れ目……そして、特殊印刷用紙は表面の模様や機能性によっても分かれてきます。実際、私もちゃんと数えたことはありませんが、業界の人間同士で話すと、特殊紙や板紙、雑種紙まで含めて厚さや寸法、流れ目まで考慮に入れたとして1万種類は軽く行ってるな! なんて話をします。これだけあると、紙屋の営業ってどんだけ商品のことを勉強しなきゃいけないんだよ……という絶望的な気分になることもしばしば。

ただ、不思議な事に仕事で扱ってるとそのうち自分の得意な分野の紙に詳しくなり、そして関連する周りの紙に詳しくなっていく。結局は扱ってる紙に興味が持てるかどうかがポイント。紙屋にいると日々見本帳やサンプルで紙に触ることも多く、好奇心と興味を持って触れていると、知らず知らずのうちに紙博士になっています。

この知識を活かして、お客様から「この本で使っている紙を調べてほしい」なんていう問い合わせに対応するわけですね。話題のドラマ、重版出来!のマンガでは、紙の切れ端を舐めて紙の種類を判別する購買担当の方が出てきましたが、あの境地まで到れるのか……日々精進です。

・今回のポイント
紙の種類は1万種類超え?

次の記事では、紙屋さんが何を考えて仕事をしているか? というところを掘り下げましょう。

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紙屋さんって何をしているの? その1:卸商とは

2015.8.1

鵬紙業は印刷・出版用紙の販売をしています。一口に言ってしまえば”紙屋さん”です。

でも、紙屋さんってなにやってるんでしょう?

デザインにあかるい人や広告関連で働いている人だと、青山や神田にある竹尾さんの見本帖を思い出す方も多いと思います。見本帖で扱っているのは、特殊紙と言われるエンボス模様がついたり、色がついていたりといったちょっと変わった紙です。当社でも特殊紙は竹尾さんのものに限らず幅広く扱っていますが、メインで扱っているのは別の紙なんです。

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